News海の幸
No49.  2004年  12月号

 
Z 日本型食生活に回帰せよ
   ― 小泉農大教授が西洋型食生活に警告
 
 「ウーマンズフォーラム魚」が今春から開設した、東京農業大学・小泉武夫教授による「海と魚と食文化講座」の第5回(最終回)が、12月18日東京・港区の南青山会館で開催されました。今回のテーマは「世界は日本に学べ、日本は世界に伝えよう」。小泉教授は、「世界一の長寿を達成した日本人特有の食生活を再び取り戻し、その特長を世界に伝えるべきだ」と強調しました。
今回の講座の骨子は次のとおり。

(1)  最近、日本人の性格と健康状態に異変が起こりつつある。小中学生の学習能力が低下し、キレやすい性格の児童が増え、その結果犯罪が増えてきた。その原因のひとつは食生活の変化にある。日本人は戦前まではコメ、サカナ、大豆製品、野菜を中心とする日本型食生活を続けてきた。しかし戦後はパン、肉、牛乳、バターの摂取が除々に増え、1970年代から西欧型食生活に移行する世代が多くなった。このころからガンによる死亡率が高くなり始めた。その原因のひとつは食品の中の脂肪の違いだ。サカナやクジラの脂肪は不飽和脂肪酸で、融点が低く固まらず人間の体に良い脂。しかし畜肉の脂肪は飽和脂肪酸で融点が高く冷やすと固まる。人間の体の中でも完全に溶けず排泄されにくい。また、日本人の腸は欧米人に比べて長く、肉を吸収するのに適しておらず、腸の中での滞留時間が長くなり、その結果直腸ガンの元になる。

(2
)医食同源という言葉があるがそれを見事に証明した実験がある。福島県の西会津町
町民1人当たりの医療費が全国で2番目に高かった。それで町をあげて食生活の改善に取り組んだ。その中心はミネラル改革で、ミネラル豊かな野菜類を多くとるようにした。まず推肥づくりから始まり、それを入れた土を作り化学肥料を使用しないミネラル分の多い畑で野菜を育て地産地消を実践した。その結果5年間で西会津町は医療費の低い町のベスト2になった。

(3)  日本が長寿国であるのは戦前までに生まれた人たちの健康に支えられており、これからどうなるか不安だ。子供たちの好きな食べ物ベスト10は、シチュー、ハンバーガー、スパゲティーなど洋風が多い。児童にはサカナ、海藻類、大豆、根菜類を意識的に食べさせることが重要だ。サカナにはEPA,DHAなどの不飽和脂肪酸、海藻類には亜鉛が含まれている。亜鉛は重要なミネラルでこれが不足するといろんな病気の引き金となる。そのひとつに味盲症(味覚障害失調症)があるが、これにかかると何を食べても味がなくなる。大豆というのは大変優れた食品で、蛋白質の合有量は牛肉よりも多い。牛肉は17.9%だが大豆は30%もある。大豆の根には根瘤バクテリアがいてアンモニアを作る。土から栄養を吸い上げてせっせと蛋白質をつくってくれる。大豆パワーの源泉といえよう。最後に強調したいのは、地産地消、スローフードを実践して、コメ、サカナ、大豆、野菜を中心とする日本型食生活を取り戻さないと日本人は身心ともに墜落してしまうという点だ。

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